分水嶺になった1980年の大統領選挙で、シカゴ学派の自由市場のイデオロギーがワシントンで優勢になった。
それとともに金融市場の規制緩和が実施され、国内政策では中央政府の力が削減されていくようになった。
戦後のアメリカ経済を支え、国の誇りになっていた大企業が、1980年代前半に徹底的に解体され、再構築されたことが重要な基礎になって、アメリカ経済は競争力を回復し、90年代には「ゴルディロックスと3匹の熊』の主人公が見つけたスープのように、熱すぎでも冷たすぎでもない絶好の景気になった。
しかし、長く続いた金融市場のブームは、みずからを破壊する動きを生み出すことになる。
次に1980年代と90年代の決定的な動きを3つ取り上げる。
仕組み金融市場の誕生、金融派生商品市場の大幅な拡大、証券取引のコンピューター化である。
この3つの動きがひとつにまとまって大規模な信用バブルが生まれ、いま、破裂しているのである。
可能なかぎり残高を調べ、危うくなっている理由を説明し、発生しうる損失を定する。
そして、もっと現実的な清算のシナリオを考え、その過程で起こりうる問題を検討していく。
数学の応用、金融商品、信用バブルの仕組みをさらにくわしく取り上げ、とくにアメリカで、金融当局がバブルの拡大をもたらす点で決定的な役割を演じたことを論じていく。
アメリカの政治がリベラル派と保守派が交代するサイクルを描くという見方は、偉大な歴史家のA・S・Sが指摘したものだとされている。
政治と経済に関する支配的な見方が、25年から30年の大きなサイクルを描いて、リベラル派と保守派の間で交代するという。
サイクルの当初の時期には、新しい考え方が新鮮な涼風のように、古い神話を吹き飛ばしてくれる。
だがいずれ、Gの法則に似た要因によって支持層の質が低くなり、涼風が止まって空気がよどむようになり、指導者は教条的な考え方にとらわれるようになる。
リベラル派が支配的なサイクルでは通常、権力が腐敗し、保守派が支配的なサイクルでは通常、金銭をめぐる腐敗が起こる。
自由市場を標榛する現在の保守派のサイクルは、レーガン政権からはじまっており、さまざまな実績をあげてきたが、すでにかなり前から行き過ぎが目立ってきたように思える。
少なくとも、金融市場の適切な規制を回復することが不可欠になっている。
アメリカの金融市場は透明性と誠実さが魅力になって、つねに世界の投資を引きつけてきた。
この信頼感がいま、かなりの程度失われており、今後数年にさらに厳しく問われることになろう。
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